「よし、それじゃあ只今より、歌詞選考会議を始める」
次の週の月曜日。
俺たちは部室で頭をつき合わせていた。
「俺、みんなの筆跡知らないから
誰がどれを書いたのか分からない。
でも、1つ。
いいな、って思うやつがあった」
誰かがゴクッと唾を飲み込んだのが分かった。
「でも、どれが良かったのかは言わない。
今から全員の詞読んで、それぞれ心の中で1番いいやつ決めて。
それで最後に指さして、
1番指示されたやつを歌おうと思う」
誰も何も言わない。
そこへ俺は5枚の紙を渡した。
自分の手近にある紙をとって読み始める。
「なあ、エトー
作曲の仕方、教えてくれよ、いつでもいいからさ」
すでにどれにするか決まっている俺は
部室の隅にいるエトーに近寄る。
「仕方ないな。
教えてやるよ」
それから全員が詞を読み終えるまで、
エトーから作曲の仕方のレクチャーを受けていた。


