それから15分。
「…なるほどな。
で、波瑠斗の中で答え、決まってんの?」
すべての詞を読み終えたエトーは顔を上げて言う。
「うん。まあ。
だけど、みんなの意見も聞かないと」
「って言いながらお前の中じゃ、完全に決まってるんだろ」
なんでもお見通しなんだな、俺のこと。
悔しいけど、図星なんだよな。
だって、読んだ瞬間、鳥肌が立ったんだ。
俺が音をつけるとしたら、この曲だ、って思った。
「エトーは?
どれが良かったと思う?」
「俺?んー、まあ波瑠斗のはとりあえずこの中じゃ2番目に良かった」
2番目?俺のが?
「波瑠斗の詞の、このさ、
『もし世界のみんなが
素直にありがとう、と言えたら
この世界の争いがなくなったかもしれない
もし世界のみんなが
素直にありがとう、と言えたら
この世界は今より明るかったかもしれない』
っていうサビ。
俺、すげーいいと思う。
まあ若干、不自然な日本語であるところは目を瞑ったとしても、
胸に響く、いいコトバだと思うよ。
だけど…やっぱりこれが1番だと思う」
エトーはそう言って1枚のルーズリーフを俺の前においた。


