「なあ、お前ら最近、静かだな」


ある日の休憩時間。

拓馬が言う。



「お前ら、って誰のこと言ってんだよ?」


「いや、お前らつったら軽音部のメンバーに決まってんだろ」


誰が決めたんだよ、そんなこと。

と、心の中で呟きながら



「静かってまあやることないからなあ」

なんて普通に切り返す。



「やることないの?」


「ああ、ないよ。

軽音部は無事に作れたし、吹奏楽部から1部屋防音室もらえたから部室もできたし。

まあ学際のステージで演奏、っていうのは学際が近くなってからじゃないと動けないしな。


まあしいて言うなら練習くらいだな、やることって言えば」


そう。

俺たちは今、暇を極めていた。


そりゃあ、練習はしなくちゃいけない。

夢の大舞台で失敗なんて許されないからな。


だけど、そのほかにやることがない。


まあ、今までが忙しすぎたのかもしれないけど。