次の日



「これ、全校生徒の3分の2の署名です。

…よろしくお願いします」


俺たち5人分の想いがつまったノートを生徒会の机の上に置いた。



「えーっと、じゃあこれに名前、書いてもらえますか?」


生徒会長に紙を渡される。


『申請書』

そう上に書かれてある紙に何を申請したいのか、ということと代表生徒の名前を書く欄がある。


『軽音部設立』

と、書いて下に自分の名前。



「お願いします」


受け取った紙にさっと目を通した会長はその視線を俺に向ける。



「この署名はちなみに何人分あるんですか?」


「えーっと416人です」


「あ、美雪ちゃん。

全校生徒何人だっけ?」



美雪ちゃんと呼ばれた背の小さい可愛らしい子は何かに目を走らせたあと言う。



「594人…かな」


「ってことは…その3分の2だから…396人か。

はい、分かりました。


署名の人数も足りてますし、

何の問題もないと思うので

あとは僕たちに任せておいてください」


そこでやっと生徒会長は俺たちに笑顔を見せた。



「あ、そうだ。

渡辺…先輩、でしたっけ」


生徒会室を出る直前、生徒会長に呼び止められる。


「そうだけど…」


「僕、応援してますから。

なんか困ったことあったら遠慮なく、僕たちに相談してください。


ここにいる全員、先輩たちの味方なんで」


なんなんだ、この粋な生徒会長は。


「おう。サンキューな。

それ、頼んだ」


こうして俺たちは堂々と生徒会室をあとにしたのだった。