アトヒトリ。



「…うん」


「それで、突然電話が切れて何度もかけなおしたらしいけど…出なかったみたいなの。」



椿は『そうなんだ』とだけ言って窓の外を見た



「…でもさ、トロ…冬子は引っ越したわけだし殺せるわけないじゃん?」


沙織の言うとおりだ

「第一…あいつに人を殺す勇気なんて絶対にない」


それも沙織の言うとおりだ。

椿は知っていた
どれだけ冬子が優しい人だったかを