「相変わらず、ウゼー」

「ってめ……。美羽ちゃん、こいつをもっと教育してやって。口が悪すぎる。俺、ショックがでかくて立ち直れない」


うなだれるコウ先輩を見て、ハハっと笑った。


横から、『一生立ち直るな』と、日和が突っ込んだ。


外の空気が冷たくて、教室の窓が曇っている。

空は灰色の雲に覆われていて、雪が降りそうな感じだ。



2学期も、あっという間に終わり。


冬休みを迎えれば、あとは3年生が卒業するのを待つのみとなるんだ。

……卒業、か。



「美羽ちゃん」


頬杖をついて窓の外を眺めていると、コウ先輩が横から椅子をとって、私の隣に腰かけてきた。


久しぶりに間近で見た、コウ先輩の顔。


やっぱり、キレイな顔だ。

私の周りの男の子は、どうしてこんなに美形ぞろいなんだろう。


3人の顔の一部を少しずつ私に分けてくれたら、私はきっと“ミスジャパン”に選ばれるかもしれないのに。