クルリと、振り向く彼女。


瞳には、涙が滲んでいる。


「気まずくなるからって、私達を避けないで。この件は、これで終わり。また一から友達になって」


私が右手を差し出すと、彼女は私の右手をじっと眺めた。


ポタポタと絨毯を濡らしていく涙。


嗚咽がこぼれて、肩が小刻みに揺れている。


私の手と彼女の震える手が合わさった時、日和が私の背中に抱きついてきた。


「まぁ。許せたもんじゃないけど、美羽がいいって言うなら仕方ないね」


そう言って、日和も彼女に手を差し出している。


「これで仲直り」


日和がおどけて笑う。



「ありがとう……」


彼女は、涙をこらえながら、そう言った。


私達を見ながらほほ笑みあうのは、壮吾とコウ先輩。


「女ってわかんね」


ぼそっと呟いたのは、レオくん。


眉間にしわを寄せ、首を傾げている。


「ま、いいじゃん。問題が解決したんだし」


そう言った壮吾が、握手を交わす私達の側へとやってきた。


「あんたも、見つけろよ。心から信じれる仲間をさ。そしたら、わかるよ。まぁこれが、ホントの友情とか、ホントの愛ってやつかわかんねーけどな」