「美羽ちゃん。次は俺の番」
コウ先輩が、私に向かって、両手を広げている。
「は・や・く」
「てめぇ、殺されてーのか」
「いっだ!!!」
私に抱きつこうとしていたコウ先輩の頭を、壮吾が思い切り叩いた。
私は、そんな二人を見て、涙を拭いながら笑った。
レオくんに視線を向けると、無表情のままで、じゃれ合う壮吾達を見ている。
レオくん――…。
私ね、思うんだ。
レオくんの心は、少しずつ変わってきてるんじゃないかって。
ねぇ、気づいてる?
壮吾達を見ているレオくんの表情は、いつものように無表情に見えるんだけど、微かにほほ笑んでいるんだよ。
ホントにわずかだけど、目が、とても優しくなったの。
ずっとレオくんを見てきたんだ。
それくらいの変化は、すぐに見破れる。
初めて、レオくんが柔らかく見えた瞬間だった。