ドクンっ!!

まただ……。

また心臓を掴まれた。


今にも恐怖心に押しつぶされそうなのに、この心臓だけは、敏感に壮吾に反応する。


キザなセリフを簡単に言える壮吾。

だけど、それが全然嫌じゃない。


むしろ嬉しくて、さっきまでの恐怖心は一体どこへ行ったのやら。


私の肩を抱き寄せる壮吾。


観覧車はもうすぐ一番上まで上がる。


壮吾の腕に抱かれ、外の景色なんて何も見えない。


壮吾の穏やかな心音が、私の心を落ち着かせてくれた。


「ちょっとは落ち着いたか?」


うん。 と、小さく頷く。


「案外、怖くねーだろ」


壮吾と一緒ならね。そう、心の中で思った。


壮吾がゆっくりと腕の力を緩める。


観覧車はもう頂上を超えていた。


徐々に下に戻っていく。


私達の背後で夕日が光り、2人の横顔を照らし続けていた。