「どうしたんだ?ため息ついて」



顔を覗き込んできたのは、大野さんだった。



真由美さんは窓に顔をくっつけてもう眠ってしまっていた。





「難しいですよね・・・・・・」



「何が?」



不思議そうな大野さんの顔を見て、沙織のお願いを思い出す。



沙織、大野さんのこと狙ってるんだっけ。




「大野さん、彼女いますよね?」



こんな話をしたことはなかった。



コンパに行くとか、しつこい女がいるとかそんな話は聞いたことがあったけど。




「気になるの?」



ちょっと顔を近づけてきたから、私は両手を顔の前でバタバタさせた。




「違います!!」




「そこまで否定しなくてもいいだろ。ははは。彼女は、今はいない。明日はどうなるかわからないけど」




大野さんが言うと、本当っぽい。



大野さんなら、突然彼女ができても不思議じゃない。



私の好みじゃないけど、一般的にはかっこよくて仕事もできて、結構完璧な人だと思う。