優樹くんも巻き添えにしている。
いくら何でもそれは無理でしょ・・・。
「え?あ、うん。いいよ」
「良し、決まりね♪」
・・・・なんでこうなる。
美紅はあたしに向かって、ウインクをしまくっている。
「じゃあ、これ終わったら教室行くから」
二人は教室に戻っていった。
「うん分かったー」

「良かったじゃん♪」
そう言っているけど、あたしは内心すごく複雑だった。
迷惑だったに違いない。朝だって断ったのに・・。
「繭ー?なんか嬉しそうじゃなくない?」
「ん?嬉しいよ」
「そぉー?あんた考えてること分かんないからさ」

あたしたちも教室に戻り、ぼーっと授業を受ける。
美紅は何故か教科書に隠れて化粧をしている。
カバンから、鏡を取る。
鏡に映った自分を見て、あたしは愕然とした。
走ったせいからか結んでいた髪の毛はボサボサ。
授業中だから結びなおせないし・・・。

決死の覚悟で、あたしは手を挙げた。
「おお、どうした」
「あの・・・お腹痛いんで保健室行ってきます・・・・」
「分かった、気をつけろよー」
「はい・・・」
勿論これは仮病だった。美紅には分かってるだろう。

トイレに行って、髪の直そうとすると美紅が入ってきた。
「あんた仮病なんか使うんだ!何?化粧直し?」
「違うよ!あたし化粧とかしないし・・・」
「マジ?しようよっ!あたしがやったげるから」
大きなポーチを広げると、無数の化粧品が入っていた。
「姫系?ナチュラル系?ギャル系?姉系?」
「え・・・な、ナチュラルで・・・」
了解。美紅はそう言ってあたしに化粧を始めた。