『誰も助けてくれない』
それはあたしがずっと思ってることだった。
助けて欲しいなんて思わない。
助けてくれたって、次はその人がいじめられるかも知れない。
そしたらあたしは、その人を助ける自信がない。
「そっか。あんた強いね」
小さく呟いて、あたしを見て悲しそうに笑った。
「あんた、名前なんだっけ?」
「同じクラスなのに知らないの?」
「知らん」
「・・・・繭」
「じゃあ繭って呼ぶ!あたしは美紅ね♪よろしくねー」
「あ、今日から友達だから!後で赤外線しよ」
「あ・・うん・・・」
今日は何か不思議な日だ。
遠かった存在の人と、普通に会話している。
「美紅って、いつも男の人と一緒じゃない?」
「うん。彼氏とかじゃないよ」
「そうなの!?」
「そうだよー」
美紅は髪の毛の枝毛探しをしている。
「あとひとつ、聞いていい?」
美紅の長袖のシャツから見える、小さな傷跡。
「それって、自分でやったの・・?」


