「三台目に乗車してください」 スピーカーから男の声が流れた。 言われた通りに一台目を降りて、三台目に乗車した。 真っ暗な時間に慣れたせいか、後部席までスッと行けた。 真ん中に座って辺りを見渡した。 そうしてゆっくりと目を閉じた。 やがてバスが発車した。 このまま眠りに就こうとしたが、瞼の中を陽射しが通う。 驚いて目を開けると、淡い黄色の陽射しの世界がバスを包む。 三台目に乗車しているため、背後の景色に目を奪われた。 バスは木々の並木道を走っていた。