佐々木さんの話が、胸に ささった。

もはや、佐々木さんの奥様に 嫉妬するどころでは なかった。

私の 頭には、パパの顔が浮かんだ。

そう。
パパの事を「パパ」と 呼ぶようになった頃からだ。

きっとその頃から、私も パパを必要としなくなった。

パパは 『家族を構成する大切な一員』として必要であるだけで、毎月お金を運んでくれて、子供を愛する父親でさえあれば、別に 誰でもよい程度の 存在になっていた。


いつも飲んで帰ってくるパパ。

私が話しかけても、テレビや新聞から目を離さないまま 返事もろくにしてこないパパ。


そんな風に、冷たいパパを 恨んでいたけれど、パパからすれば、私も 可愛げない女だったって事なのか?


私は 必死で 奥様の弁護を はじめた。