目の前に来る 佐々木さんの顔…。


味気ない 会社の蛍光灯は、 佐々木さんの 顔のアラまで、 容赦なく うつしだす。



近くで見ると、結構な年だ。

頬の毛穴が 開いているのが分かる。



なぁ~んだ。

「そんなに かっこいいばかりじゃ ないんじゃん!」



と 思った瞬間。




佐々木さんの、その、

くたびれた 皮膚が 愛おしく思えた。





大切に 思えた。




触れたくなった。





キ ス


し た い ……。





あたし。





今、この人が好きだ。





さっきまでは 違ったけどー。






とにかく 恋がしたくて、

そこに たまたま現れたのが佐々木さんだっただけで。




どうせ誰でも よかったんでしょ?って、自分でも思ってたけどー。






あたしー。








佐々木さんが 好きだ。





佐々木さんが 好きだ!!






心が 熱くなる。



幸せに 包まれる。






そんな 思いと同時に、






私は 自然と キスをした。





私から キスしたくなった。







だから 私から キスした。







これからも





たくさん





たくさん







アタシから…。




【完】