「なんで、顔赤くしてんの?」
ヒロキの声にひなは自分が蓮の背中を見ていることに気がついた。
「えっ、赤く?えっ?」
その声は明らかに動揺して。
見上げたヒロキの顔は不機嫌きわまり無かった。
「だって・・・蓮くんもモデルさん?」
そう聞きたくなるほどのルックス。
身長もヒロキほどではないにしても高い。
「違う」
ヒロキの声は低い。
あんな顔で笑顔を向けられたら、仕方ないじゃない?
ひなはそう思いながら、手の中にあるスミノフを口に含んだ。
「まっ、蓮の方が社交性はあるよな?」
トモが笑いながら言う。
「そうね、将来さらにいい男になること間違いないわ」
隣の彼女も腕組みしながら頷いた。
「やっぱり、格好良かったよね?蓮くん」
二人に同調するようなひなの台詞にヒロキが反応する。
「へぇ・・・。あーゆーの好み?」
ヒロキの声が一層低くなる。
「えっ?好みって、そうじゃなくて一般的にって意味で・・・」
言葉に詰まひなに「覚えてろよ?」とヒロキが吐き捨てる。
「男の嫉妬は醜いねぇ?」
トモが嗾(けしか)けるように言うから・・・・・・。
「うっさい!」
ヒロキはトモのすねを思いっきり蹴った。
「ってぇ!ホントのことだろ?」
だから、ムカつくのだ。
ヒロキは目の前で痛がるトモを無視して、唇をひなの耳元に近づける。
「覚えてろよ?」
そう囁いて、耳たぶを舐めた。
「ひゃっ!」
ひなの顔があっという間に赤く染まる。
ヒロキはそれを満足げに見ていた。
(注:ヒロキとひなは『あの夏のつづき』 のメインキャラです)