AVENTURE -君の名前を教えて-

確かに、言ってることは正しい。


お見合いの席に、いきなり私みたいな素性の知れない女を連れてきて、『彼女だ』とか言われたら、誰だっていい気はしないだろうし、非常識もはなはだしいと思うわ。


でも。


それをストレートにぶつけられて、素直に受け入れられるほど、私は出来た人間じゃないし、大人でもない。

…だけど、言い返す事も、そんな勇気もなかった。


「カトレア様」

アヤがさっきよりもはっきりとした口調でカトレアの名前を呼ぶ。

「俺が選んだ女性に対して失礼です。非常識はどちらですか」

アヤの一言に、私の動きは止まる。

「話せる言葉や、理解できる言語で、その人の何がわかるというんです?そんなことで人を判断するなんて、それこそ教養不足だとしか思えませんが」

にっこりと微笑むアヤ。が、目は笑っていない。

「あら、海外へ旅行に出るくらいですもの。旅先の公用語くらい、ある程度話せるようになっておくのは当たり前じゃないかしら。ねぇ?ほたるさん」

ふふっとカトレアに笑いながら言われて、私はただ、小さくなるしか出来なかった。

「返答がないと言う事は、ほたるさんは自覚があるということかしら」

カトレアの言葉に、はじかれたように私は立ち上がり、すみません、と一言いうと、そのまま急いで部屋を出て行った。