AVENTURE -君の名前を教えて-

しんとしたその場の空気に、私は何でそんなことになったのかがわからず動揺する。

「あ、ごめんなさい。ほたるさん、英語が苦手だったわね」

日本語でシエラがくすっと笑って話しかけてくる。

「ほたるさんは、何か習い事のようなものはされているの?」

「え?習い事?」

首を傾げると、シエラは苦笑しながら頷いた。

「そう、習い事。ピアノとか、ダンスとか」


…そんなもん、何にもやってませんけど。


言われて私は答えに詰まる。

小さい頃はそういった習い事にはあまり興味が無かった。
中学・高校と部活やバイトや友達と遊ぶことが楽しくて、習い事には更に興味が無くなった。
大学に入ってからは、更に遊びの幅がひろがったこともあって、バイトと遊ぶことに忙しくて、何かを習おうなんて思ったことも無かった。


「何も…やってないです」

「え?そうなの?」

不思議そうな顔をするシエラ。アヤやシエラの両親も苦笑いを浮かべている。


なに、この感じ。
私、おかしいの?


別に必要ないと思っていたし、それが普通だと思っていた。
習いたくも無いお稽古や塾に通う友達をみて、正直、かわいそうだと思ったし、そういった子たちからは羨ましいとさえ言われていたくらい。


なのになんで?なんでこんな風に笑われなくちゃなんないの?


私はぎゅっと両手を合わせて握り締めた。