AVENTURE -君の名前を教えて-

「わぁ…!」

仕上がったヘアセットを、アヤに渡された鏡で見て驚いた。


私の髪、こんな風にもなるんだ。


髪型をショートにしてからというもの、一度もセットと呼べるようなことをしたことがなかった。


なんかカリスマ美容師って感じ。
…態度悪いけど。


そんなことを思っていると、チカが今度はどこから取り出したのか、メイクをしようと、濡れたコットンを肌に当ててきた。

「えっ!?や」

「黙れ」

「…」

チカに言われて、私は口を閉ざした。

鋭い眼光で睨み付けたまま、チカは手際よくメイクを始める。


怖すぎて何にも言えない。


はぁ、とため息が漏れる。
その瞬間。


しまった。

と私が思うと同時に、チカの手が止まり、見下すような眼差しを向けて小さく呟いた。

「教養のない女だ」