AVENTURE -君の名前を教えて-

「チカ。こいつのヘアセット頼む」

アヤが男の人に向かって言うと、男の人は少しだけ頭を下げ、私の方へと近づいてきた。

「え?え??」

意味が分からずチカと呼ばれた男の人の方を見ると、表情を変えることなく、私の顔をぐいっと力任せに真正面に戻した。

「痛い!」

叫ぶ私。だが、チカは気にした様子もなく、何処から取り出したのか分からないブラシ片手に、丁寧に私の髪を梳かし始めた。

「動かないで下さい」

冷たい声で言われて、私は小さくはい、と呟き、出来るだけ動かないようにする。

「チカ、お前もう少し愛想よくしろよ」

アヤが呆れたように言う。
が、チカはあまり気にした様子もなく、淡々と私の髪をセットしていく。


なんか…やだな、この雰囲気。


溜息が出そうになるのをぐっとこらえて、私はチカがセットを終えるのを待った。