AVENTURE -君の名前を教えて-

「フラれても好きだなんて、見込みもない恋だし、諦めなきゃって思ってるんだけどねー。どうしてもやっぱり好きなのよ」

苦笑いしながら答えるお兄さん。
私は、アイツのことを思い出した。

「…相手に、好きな人がいた、とか?」

聞くとお兄さんはうーん、と少し首を傾ける。

「好きな人…そうね、そうとも言えるかも」

その答えに、私は首を傾げた。

「その人には、とっても大切な人がいるの。恋愛感情とか、そういうのとはたぶん、別だと思うんだけど…恋愛とか、そういうこと以上に大切な人がいて、私じゃその人に太刀打ちできないのよね」

はぁ、と小さくため息をつくお兄さん。

「辛くないんですか?」

聞くとお兄さんは小さく笑った。

「辛いに決まってるじゃなーい!もぉ…それこそ、夜も眠れないってやつ?」

少しおどけたように答えるお兄さん。

「でも、それでもやっぱり忘れられなくて。あぁ、私はあの人のことが好きなんだなぁって思っちゃうのよ」


笑うお兄さんの笑顔は、どこか寂しそうだったけど。
でも、暖かくて、前向きな、お兄さんらしい笑顔だった。