AVENTURE -君の名前を教えて-

アヤに対してひどいことを言ったかもしれない。


『付き合ってないじゃん』


確かにその通りなんだけど、なんだかまるで、アヤが悪人みたいな言い方になったような
気がしていた。

「それでも、突然キスするのはいただけないわよね?」

言われて私は思わずガバっと顔を上げた。

「なん…で、それ」

思わず声が裏返ってしまった。
そんな私の様子を見て、お兄さんはくすくすと笑う。

「あら?あなたのその反応…もしかして、まんざら嫌ではなかったのかしら」

「え…?」

カップを持っていない方の手の甲を頬に当てる。少し頬が赤いのがわかった。

「それ…は……」


よく考えてみれば、アヤにキスをされたのは今日で2回目。

だけど、正直、確かに嫌だとは思わなかった。
でも。


「…キスは好きな人としたいし、あんな風にされるのは嫌です…」

少し俯きながら答える。


そうだよ。
あんな風にされたら、まるで気持ちが伴っていないような気がしちゃうじゃん。


シュンとなる私を見て、お兄さんは笑いながら続けた。

「そうね。キスしたりするのは特別なことだもの」

言われて私はまた、自分の頬が熱くなっていった気がした。