剣と日輪

る日はない!建軍の本義はない!それを私は悲嘆していたんだ。自衛隊にとって建軍の本義とはなんだ。それは日本を守ることだ。日本を守るとはなんだ。日本を守るとは、天皇を中心とする歴史と文化の伝統を守ることである」
「国民を守るんじゃないのか」
「戦前へ逆戻りだ」
 尤もらしい抗議が浴びせられた。
「おまえら聞けぇ、聞けぇ!静かにせい、静かにせい!話を聞けっ!男一匹が、命をかけて諸君に訴えてるんだぞ。いま日本人が、ここで立ち上がらなければ、自衛隊が立ち上がらねば、憲法改正ってものはないんだよ。諸君は永久に、米軍の下請けになってしまうんだぞ。諸君への命令は日本の傀儡(かいらい)政権を通して、アメリカからしか来ないんだ。諸君は間違ったシビリアン・コントロールに毒されている。欧米のシビリアン・コントロールは財政上のコントロールのみであって、今の自衛隊のように人事権まで根こそぎコントロールされる事ではない。そんな国は日本以外何処にも無いぞ。新憲法下で堪えるのが、シビリアン・コントロールじゃないぞ。俺は四年待ったんだ。自衛隊が立ちあがる日を。そうした自衛隊の大和魂を信じて、最後の三十分に全てをかけ、待ってる