剣と日輪

 公威はさらしの布で鉢巻を制作し、真赤な日輪を描いた。そして右側から、日の丸を真ん中に挟んで、
「七生報国」
 と清書し、四人にも配布してやった。必勝と公威は明後日の必需品、包帯、垂幕、鉢金、ロープ、ペンチ、脱脂綿等をアタッシュケースに手際よく詰め込んでゆく。
「先生」
 必勝が脱脂綿を翳(かざ)した。
「こりゃあ、何に使うんです?」
「それか」
 公威は鼻で笑う。
「尻につめるのさ。切腹の際洩らさない様にね」
「そうですか」
 必勝も軽笑する。
「よくご存知で」
「まあね」
 準備が整うと五名は数寄屋橋の、
「四季」
 へ繰り出し、海老料理専門店、
「鶴丸」
 で辞世の歌を詠んだ。
「散るをいとう世にも人にもさきがけて散るこそ花と吹く小夜嵐」
 公威は短冊(たんざく)にそう刻むと、四人にも、歌を作るよう勧めた。
「浮ばんなあ」
 渋る必勝に、
「下手でもいいから、思うがままを歌にすればいい」
 とアドバイスしてやった。
 小川達は遠慮したが、
「決意を込めた歌でいい」
 とのことだったので、明日までに各自詠んで来る事になった。
「じゃ明日又」