公威はじろりとストークスを威圧した。
「大塩は自著洗心洞箚記(さつき)に書いている。身が滅びるのは、自然だから構わない。だが魂の滅びるのを自分は怖れると。不滅の魂を得たならば、この世に何等怖れる事があろうと」
「確かに。基督(きりすと)やジャンヌ・ダルクはそうだ」
公威はストークスを無視して、語る。
「大塩は徹底して虚偽を憎み、救国済民を願ったが、大塩の乱により彼の愛した大坂の家屋の五分の一が焼失し、民は益々困窮してしまったのだ。彼の望みとは正反対の災害を彼自身が齎(もたら)す結果となってしまった。これ以上の皮肉があろうか」
ストークスは到頭火を止めて、ビフテキを焼くのを諦めた。
「肉体とは中身のない、死んだら蛆虫(うじむし)の餌にしかならない着物に過ぎん。大塩はそれを知っていた。空虚な肉体の虚空に触れた大塩は自滅し、厄災を残したのだ」
ストークスと大原は配膳しながら、異様な公威に頷く。
「大塩は自著洗心洞箚記(さつき)に書いている。身が滅びるのは、自然だから構わない。だが魂の滅びるのを自分は怖れると。不滅の魂を得たならば、この世に何等怖れる事があろうと」
「確かに。基督(きりすと)やジャンヌ・ダルクはそうだ」
公威はストークスを無視して、語る。
「大塩は徹底して虚偽を憎み、救国済民を願ったが、大塩の乱により彼の愛した大坂の家屋の五分の一が焼失し、民は益々困窮してしまったのだ。彼の望みとは正反対の災害を彼自身が齎(もたら)す結果となってしまった。これ以上の皮肉があろうか」
ストークスは到頭火を止めて、ビフテキを焼くのを諦めた。
「肉体とは中身のない、死んだら蛆虫(うじむし)の餌にしかならない着物に過ぎん。大塩はそれを知っていた。空虚な肉体の虚空に触れた大塩は自滅し、厄災を残したのだ」
ストークスと大原は配膳しながら、異様な公威に頷く。


