「楯の会ってそんなに面白いの?」
「面白いというか、三島先生に出会えて、僕は本当によかったって思っとる」
「三島由紀夫の作品は好きよ。春の雪なんか最高。豊饒の海って最後どうなるのかしら」
「さあ。僕は先生の作品には余り興味無いし、でもなんか言ってたなあ。豊饒の海が完結したら終わりだって」
「終わり?」
「もう作家としてはジ・エンドらしい」
「ええっ。じゃあどうやって生きていくんや」
「さあ」
必勝は語尾を濁した。
「最終計画」
は着実に進行している。それが成し遂げられたならば、公威も必勝もこの世に居ないだろう。
四日市はのんびりしていて、東京での慌しさが嘘のようだ。
「やっぱ田舎ってええねえ」
必勝の詠嘆(えいたん)に、
「じゃあ、卒業したら帰ってきたら」
と牧子は勧めた。
「それも悪くない」
卒業後の自分等考えられない。何故なら必勝は、
「最終計画」
が成っても成らなくても自刃する肚積もりだったからである。
「学生長を辞めたくないから、学生するとか」
「そんなことはない。楯の会には学生以外の隊員もいるし」
必勝は脱退した論争ジャーナルグループの中辻、萬代、そして持丸等を懐古した。
(持丸先輩どうしてるかなあ)
「面白いというか、三島先生に出会えて、僕は本当によかったって思っとる」
「三島由紀夫の作品は好きよ。春の雪なんか最高。豊饒の海って最後どうなるのかしら」
「さあ。僕は先生の作品には余り興味無いし、でもなんか言ってたなあ。豊饒の海が完結したら終わりだって」
「終わり?」
「もう作家としてはジ・エンドらしい」
「ええっ。じゃあどうやって生きていくんや」
「さあ」
必勝は語尾を濁した。
「最終計画」
は着実に進行している。それが成し遂げられたならば、公威も必勝もこの世に居ないだろう。
四日市はのんびりしていて、東京での慌しさが嘘のようだ。
「やっぱ田舎ってええねえ」
必勝の詠嘆(えいたん)に、
「じゃあ、卒業したら帰ってきたら」
と牧子は勧めた。
「それも悪くない」
卒業後の自分等考えられない。何故なら必勝は、
「最終計画」
が成っても成らなくても自刃する肚積もりだったからである。
「学生長を辞めたくないから、学生するとか」
「そんなことはない。楯の会には学生以外の隊員もいるし」
必勝は脱退した論争ジャーナルグループの中辻、萬代、そして持丸等を懐古した。
(持丸先輩どうしてるかなあ)


