必勝が純朴に聞き返すと、
「単純明朗な人格の美(び)趣(しゅ)、とでも言うのかな」
 と公威は答えた。
「人格のびしゅ?どういう意味です?」
「俺にもうまく言えん」
 公威は続けた。
「きっと言葉にならない、そう、竜宮城へ来て見れば絵にも画けない美しさ、ということさ」
「益々分かりませんが」
「そうだな。まっ真夜中のランニングでぶっ倒れる覚悟があるなら、もう一杯飲め」
「いただきます」
 公威の一時送別会は学生達の純篤(じゅんとく)に包含され、活気に満ちたものとなった。