「行きましょうか」
「ええ」
お似合いのカップルとあつ子は当てもなく銀座花椿通へ出、あつ子のリクエストに応えてナイトクラブへ入店した。
(あつ子さんは、何時まで一緒にいるのだろう)
三人の内一番はしゃいでいるあつ子は、二人をリードしている積もりなのだろう。瑤子の不恰好なステップに公威は、
(いいな)
とほくそえみながら、ダンスしている。あつ子は若燕(つばめ)に声をかけられ、満更(まんざら)でもない風であった。
瑤子に視点を戻すと、瑤子が熟視(じゅくし)していた。
「あつ子さん。浮かれてるね」
「気になるの?」
「え?」
公威は瑤子のジェラシーに、
「君ってほんと、掛値(かけね)なしに可愛いね」
と抱き締めたくなった。
「え。お上手ね」
「作家だから」
「作家ってみんなそうなんですか?」
「僕は作家で終りたくない。特に太宰みたいな作家ではね」
「そう。私お会いするまで、作家って太宰や芥川みたいなか細い、自殺しそうな神経質な女たらしばっかりだと思ってた」
「ええ」
お似合いのカップルとあつ子は当てもなく銀座花椿通へ出、あつ子のリクエストに応えてナイトクラブへ入店した。
(あつ子さんは、何時まで一緒にいるのだろう)
三人の内一番はしゃいでいるあつ子は、二人をリードしている積もりなのだろう。瑤子の不恰好なステップに公威は、
(いいな)
とほくそえみながら、ダンスしている。あつ子は若燕(つばめ)に声をかけられ、満更(まんざら)でもない風であった。
瑤子に視点を戻すと、瑤子が熟視(じゅくし)していた。
「あつ子さん。浮かれてるね」
「気になるの?」
「え?」
公威は瑤子のジェラシーに、
「君ってほんと、掛値(かけね)なしに可愛いね」
と抱き締めたくなった。
「え。お上手ね」
「作家だから」
「作家ってみんなそうなんですか?」
「僕は作家で終りたくない。特に太宰みたいな作家ではね」
「そう。私お会いするまで、作家って太宰や芥川みたいなか細い、自殺しそうな神経質な女たらしばっかりだと思ってた」


