第一回目の小島とのスパーリングは、ワンラウンドでギブアップしてしまった。
「たった三分も持ち堪(こた)えられないのか」
 公威は、
「ボクシングベイビー」
 のレベルの低さに不甲斐(ふがい)なさを体感(たいかん)し、謙虚(けんきょ)に、只管(ひたすら)にボクシングにのめり込んでいった。 
 昭和三十一年一月に二十三歳で、
「太陽の季節」
 により芥川賞をとった、
「太陽族」
 の石原慎太郎と、公威は昭和三十一年二月に銀座六丁目の文芸春秋社屋上でグラビア撮影をし、以来友好関係を結んでいる。