ハルジオン。

その後も二人はつかず離れず、会話が聞き取れる程度の微妙な距離をとったまま、森の中を歩き続けた。

「おい」

「何?」

「……いや」

達也は辺りを見回した。

洞穴を出た時は見知った場所であったのに、気が付けばまったく知らない景色に様変わりしていたのだ。

アキトは森の中をまるで自分の庭であるかのように、躊躇なく歩いていく。

「どこだ?ここ」

達也は眉間に皺を寄せた。

こうなってはもう、アキトの背中についていくしかない。