ハルジオン。

「前にってことはお前、ここに来るのは初めてじゃないのか?」

「三度目」

朝霧の立ちこめる森を歩きながら、アキトが返した。

「ふーん……何度でも来れるのか。でもどうやって?」

達也は首を捻った。

そもそも、なぜ自分がこの森に迷い込んだのかが分からない。

子供の頃、何度も遊びに来た場所なのだ。それが今になってなぜ……

「こっちが聞きたいよ」

「え?」

「なぜか知らないけどさ、気が付けば迷い込んでるんだ」

迷惑な話だよ、と言って、アキトは肩をすくめた。