いかにも坊ちゃんらしい、その余裕のある顔が腹立たしかった。

……でも、

「嫌いじゃないんだぜ」

達也はいつも、心のどこかで靖之に詫びていた。

ボロボロのランドセルを背負い、薄汚れた服を着て、すり切れた靴を引っかけて歩いていた自分に、

……ずっと、

冷たい目で見られてきた自分に、

唯一変わらぬ笑顔で接してくれたのが、靖之と百合子の二人だった。