ハルジオン。

――ガタンッ!

突然何かが倒れる音が響いたかと思うと、ブワリと埃が舞い上がった。

「何?」

百合子がハッと顔を上げると、目の前に達也が立っていた。

「た……」

「何やってんだよ」

百合子を遮る声が震えていた。

「達也……か」

父の篤史が振り返る。

その端正な横顔に、達也の握りこぶしが突き刺さった。