早世した母、イジメ、父のDVと死……辛い過去を引きずったまま高校を卒業し、東京に働きに出ていた達也は、小学校のタイムカプセルを掘り出す約束を果たすため故郷を訪れ、幼馴染の靖之と、密かに想いを寄せていた百合子に再会する。それぞれの過去や思惑が錯綜する中、達也は「泉に辿り着ければ願いが叶う」と噂される螢の森に迷い込み、アキトと名乗る生意気な少年と出会う。反発し合いながらも互いの過去を知り、少しずつ距離を縮めた二人は、ついに泉に辿り着く。その頃、百合子と靖之も暗い過去と向き合い、すべてを精算しようとしていた。自分のためではなく、アキトや靖之、百合子の幸せを願いながら森から戻ってきた達也は、かつて父と暮らしていた家に立ち寄り、そこで百合子に一通の手紙を渡される。手紙を頼りに母の実家に向かった達也は、祖母の口から父の苦悩と深い愛情を知り、初めて父を許し、これからは前を向いて生きていこうと決意する。