赤錆びたトラス橋が流れ去っていく。

頭にサイレンを付けた町役場のトラックが小さくなっていく。

道端には無数の春紫苑が咲き誇り、まるで二人を祝福するかのように白く小さな花を揺らしていた。

帰ってくればいい。
何度でも。

達也は百合子を抱きしめ、いつまでも靖之に手を振り続けた。


ここが故郷なのだ。
たった一つのふるさとなのだ。



空は高く晴れ渡っていた。

そして三人の物語は、またここから始まっていく。