ハルジオン。

「毎日のように電話をかけては篤史さんと口論してな、ついにはタツ君を引き取ると言い出したんじゃ」

「そんな……」

百合子が達也の顔を見る。

「無体な話よ」

房子は坂道をジッと眺め、じゃがな、とその先を続けた。

「そうは言うても、毎日のように家を空けとる篤史さんに、まだ四歳のタツ君を任せてはおけなんだ」

「……」

「そりゃ篤史さんも随分抵抗しとられたがの、爺さんに人殺しだ何だ言われて、とうとう諦めなすったんじゃ」

「じゃあ……」

事情を察し、百合子が息を呑む。