ハルジオン。

『あの男が、逸子を殺したんじゃ』

再び祖父の声が蘇る。

それは祖父の本心だったろう。

けれど、

本当に父に向けて投げ捨てた言葉だったんだろうか。



「篤史さんにも辛ろう当たってね。ほんにすまんことをしてしもうた」

そう言った房子の体は、さっきよりも一回り小さく見えた。


「何度死にたい、死んで逸子に会いたいって言うとったことか」

房子は湯呑を置き、仏壇の上に飾られた夫と娘の遺影を見上げた。