ハルジオン。

「母さん……」

達也は、産まれたての自分にキスをする母の横顔を見つけ、そっと指で触れた。

「なかなか子ができんでね」

房子が呟いた。

「逸子は、随分年を取ってからようやく産まれた一人娘じゃった」

「……」

百合子が無言で頷く。

「それはもう爺さんが可愛がってな。それこそ目に入れても痛とうないほどに溺愛しよったんよ」

房子は言葉を切り、表情を曇らせた。

「それだけに……逸子が死んだ時の悲しみようゆうたらなかった」

「……」

達也は返す言葉もなく、ただじっとアルバムを見続けた。