ハルジオン。

「そりゃもう。……そうそう」

祖母はやおら立ち上がり、箪笥の奥から一冊のアルバムを出してきた。

「これは?」

「逸子のアルバムじゃよ」

「ウソ?!」

髪をかき上げ、百合子が膝を揃えて座りなおした。

その肩越しに達也が首を伸ばす。

そこには、達也の知らない母の姿がアルバムいっぱいに溢れていた。

高校時代、

上京直前の姿、

結婚式、

そして出産……

どのページをめくっても、幸せそうに笑う母の姿があった。