ハルジオン。

「お爺ちゃんは?」

その横で達也が聞くと、祖母は少し寂しそうに仏壇に目を向けた。

「……亡くなられたんですか?」

「もう半年ほど経ちますかの」

「そう……」

百合子は姿勢を正し、房子を見つめた。

畳に座し、緑茶を煎れる。

たったそれだけの所作ではあったが、房子の背筋の美しさに気品を感じた。

「……それにしても」

房子が百合子の顔を覗き込む。

「百合子さんと言うたか、あんたほんに逸子によお似とおねえ」

「ホントですか?」

染み入るような房子の笑顔に、百合子は嬉しそうに目を輝かせた。