ハルジオン。

あの頃、医者に行く金も、保険証すらも持ち合わせていなかった。

酒で痛みを殺し、自分を殺し、息子に当たらずにはいられない自分をどう思っていたんだろう?

友達を拒み、学校に馴染もうとしない息子を見て、何を考えていただろう?


『息子の親友になってくれないか』

靖之にそう言った父の胸の内を思い、達也は堪えきれずに嗚咽をこぼした。

馬鹿野郎。

血が滲むほど拳を握る。

「……たっちゃん」

しゃくりあげるように揺れる肩に、百合子が手を添えた。

そして、色あせた封筒を差し出した。