ハルジオン。

「凄いんだって。モルヒネで傷みを和らげるか、酒で痛みを紛らわすんだ」

「……酒」

達也は呟いたきり、コタツの上に置いた缶ビールをじっと見つめた。

今さら詮索したところで、本当のことは分からない。

ただもし、もし本当に父がガンに冒されていたのだとしたら……


「森でオジサンが言ったんだ」

「何て?」

「俺はもう長くないって」

「……そう、か」

達也は顔を伏せた。