「じゃあ行こっか!」

手にしたシャベルを持ち直し、靖之が嬉しそうに言った。

「場所覚えてるのか?」

「当たり前じゃん」

忘れたの?と靖之が達也の顔を覗き込む。

がりん、がりん、とシャベルを杖代わりにして、境内へと続く砂利道を三人で歩く。

「百合子は覚えてるのか?」

「んー、何となく?」

「んだよ。忘れてんじゃん」

「そんなあ。百合ちゃんまで」

などと、何も知らない靖之だけが、無邪気に三人の再会を喜んでいるようだった。