ハルジオン。

十三年前の靖之と今の自分。

時空を越えて巡り会う、そんな奇跡が本当にあるのだろうか？

単に、十三年前に靖之が落としたトランプを拾っただけではないのか？

……違うな。

達也は首を振った。

靖之は几帳面な性格だった。

遊んだあとは片づける。帰る時は忘れ物がないか確認する。そんなヤツが、「宝物」を置き忘れるはずがない。

何より傷みが少なかった。

角はすり切れ、お世辞にも綺麗とは言えないが、それでも十三年間も雨ざらしになっていたとは思えない。

「嘘だろ」

達也は小さく呟き、再び歩き出した靖之と百合子のあとに続いた。