「何なに?どういうこと?」

百合子が身を乗り出す。

靖之は続けた。

「さっき、僕には三度目の森での記憶がないって言ったよね」

「ええ」

「でも、違和感はあったんだ」

「違和感?」

「そう」

靖之は真っ直ぐに達也を見つめた。

「もしかしたら十三年前、僕はたっちゃんと一緒に螢の泉に行ったのかも知れない」

「……まさか」

「ウソ」

靖之の言葉に、達也と百合子は呆然と顔を見合わせた。