「欠けていたスペードのエース……。これって僕のトランプだよね?」

「ホントに?」

百合子が靖之のものと見比べる。

「そう言えばたっちゃん、さっきまで愛染窟にいたって……」

「愛染窟!」

靖之が顔を上げる。

「そこで見つけたの?」

「……おう」

達也が憮然とした顔で頷く。


「そっか。……そうだったんだ」

靖之はもう一度トランプを見つめ、ジワリと顔をほころばせた。