(五)


「……なんで?」

靖之は大きな瞳を見開き、達也に数歩詰め寄った。

「なんでその名前を知ってるの?」

「いや……」

達也は返事に窮した。

なぜかは分からない。ただ、突然降って沸いたように「アキト」という名前が口を突いて出たのだ。

「それにそのトランプ」

「……ああ」

「見せて」

靖之は半ばひったくるようにトランプを受け取り、マジマジと見つめた。