ハルジオン。

「その旅人が言ったんだ。僕に、息子の親友になってくれって」

「親友?」

「そう。それが願いだって。もし俺が螢の泉にたどり着けたら、俺は泉にそうお願いするんだって」

「……願い」

百合子は靖之の言葉を繰り返し、話しの続きを待った。

「それから半年ほどして、僕の周りで突然何かが変わったんだ」

「変わった?」

「うん。突然父さんが帰ってきて、そしたら母さんも昔のように優しくなって。……その時思ったんだ。きっと僕は、螢の泉にたどり着いたんだって」

「まさか」

「あはは。だよね」

相変わらず靖之は楽しそうだ。