ハルジオン。

「ほら、昨日のタイムカプセルに僕が入れていた地図があったろ?」

「……螢の森の?」

「そうそれ」

百合子の問いに頷き、小屋の入口から見える多紀連山を眺める。

「信じてもらえないかも知れないけど、実は僕、あの森に二度、いや、たぶん三度行ったことがあるんだ」

「何だって?」

話を聞いていた達也が、仰け反るように靖之を見た。

「嘘でしょ?」

「本当さ。……立てる?」

驚く百合子の手を取り、外に出ると、靖之はうんと大きな伸びをした。