ハルジオン。

「……あのさ、これ」

靖之が花束を百合子に差し出す。

その顔には微塵の固さもなく、靖之らしい笑顔が広がっていた。

「一日遅いけど、誕生日おめでとう」

「あ、ありがとう」

一瞬だけ靖之と目を合わせ、百合子が花束を受け取る。

「すごい……綺麗」

「でしょ?」

「うん」

「三日前から注文してたんだ」

「ホントに?!」

にわかに百合子の表情がほころぶ。

その屈託ない笑顔を見れただけで、靖之は幸せだった。